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診療内容

専門外来

 特定の病気や症状について、専門的な診断・治療をする外来です。診断や治療が難しい症状や、専門的治療が 必要な病気、長期に付き合っていかなければならない病気などについて、専門医が診察にあたります。 高知大学医学部眼科では、白内障、緑内障、ぶどう膜炎(虹彩、毛様体、脈絡膜の3 つを合わせてぶどう膜と 呼びます)、網膜剥離、糖尿病網膜症、角膜疾患、眼アレルギー疾患(アレルギー性結膜炎など)などを専門 に扱っています。
 眼には眼球や付属器を含めて様々な場所に炎症を生じます。眼炎症外来では、眼アレルギー、ぶどう膜炎、視神経炎などの炎症性眼疾患を診察しています。  虹彩・毛様体・脈絡膜をあわせてぶどう膜と呼び、ぶどう膜に炎症を生じる病気を総称してぶどう膜炎といいます。 ぶどう膜炎の原因はとても多く、種々の検査をしても現在の医学では原因が特定できない場合もあります。ぶどう膜炎の特徴として、全身疾患の症状のひとつとして眼に炎症が発症することも多く、原因を特定するための検査は眼科の検査だけでなく、 血液検査やレントゲン、CT、心電図など全身の検査を必要とします。また他の科と連携して原因検索や治療に当たることも多い疾患です。代表的な疾患は、ベーチェット病、フォークト・小柳・原田病、サルコイドーシスです。またウイルスや細菌によって生じるぶどう膜炎の患者さんも多く診察します。
 非感染性ぶどう膜炎の治療は、ステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤(抗腫瘍壊死因子(TNF-α)抗体)といった免疫応答を抑制する薬を投与する薬物療法が原則です。感染性ぶどう膜炎の場合は細菌やウイルスを殺す薬物で治療します。白内障、緑内障、硝子体混濁といった合併症を生じた場合には、手術治療が必要となることもあります。
 アレルギー疾患は日本人の半数以上が何らかのアレルギー疾患を有しており、国民病と呼ばれています。特にスギ花粉による花粉症、アレルギー性結膜炎も非常に有病率の高い病気です。当科ではアレルギーを専門とする医師が複数おり、アレルギー性結膜炎だけでなく、より重症のアトピー性角結膜炎や春季カタルの治療を積極的に行っています。
網膜・硝子体疾患外来の写真
網膜・硝子体疾患外来の写真
 網膜・硝子体疾患外来では網膜剥離、増殖硝子体網膜症、増殖糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、黄斑浮腫、黄斑前膜、黄斑円孔、加齢黄斑変性などの病気に対して最新の知識に基づき、最高の治療ができることを目標として、専門医が外科的・内科的治療を積極的に行っています。
 糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症に対するレーザー治療、重症な糖尿病網膜症や網膜剥離、黄斑浮腫、黄斑前膜、黄斑円孔、網膜下出血、硝子体出血、眼内レンズ脱臼などに対する硝子体治療も積極的に行っています。
 また、未熟児網膜症にたいするレーザー治療も行っています。
 加齢黄斑変性症など種々の脈絡膜新生血管に対しては、光干渉断層計や蛍光眼底造影を行い、診断、治療方針、治療効果について検討しています。現在、治療は主に抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬による硝子体注射治療を行っていますが、光線力学療法も行っています。
  •  オキュラーサーフェス外来は角膜疾患(角膜変性症、円錐角膜、角膜感染症)、結膜疾患(翼状片、結膜弛緩)、アレルギー、涙(ドライアイ)など目の表面を構成する組織の異常を手術や薬物療法を用いて治療する専門外来です。
  • 角膜移植

     当院はNPO高知アイバンクより角膜移植実施病院の指定を受けている県内唯一の病院です。また、海外ドナーを用いた予定角膜移植も行っています。
  • 羊膜移植

     羊膜(赤ちゃんを包んでいる膜)を用いた眼表面再建術を積極的に行っています。再発しやすい翼状片に対して、羊膜を用いることで良好な術後成績を収めています。
  • 角膜感染症

     角膜感染症では角膜病巣の一部を削ることで、病気を起している原因菌を確認することができます。外来に常設されている手術用顕微鏡を用いてこの処置を施行します。また、検査部細菌検査室の臨床検査技師が眼科処置室に来てくれますので、迅速な検査が可能です。原因菌がわかることで、早い段階から適切な治療をすることが可能です。他の部署と連携することでより質の高い診断・治療に役に立っています。
  • アレルギー性結膜炎

     重症度に応じた効果的な治療を行っています。重症型である春季カタルの治療経験も豊富で薬物治療だけでなく外科的治療も可能です。
  • ドライアイ

     涙点プラグ等を用い、患者さんのニーズにあった治療を行います。
  • コンタクト

     円錐角膜用の特殊レンズの処方が可能です。
  • 眼瞼疾患

     眼瞼けいれんにはボトックスを用いた治療を行っています。眼瞼下垂、内反症手術も積極的に行っています。
  • 1. 緑内障とは

     何らかの原因により眼球と脳の間の視神経が障害され、視野(見える範囲)や視力に異常をきたす疾患です。眼圧上昇が原因の一つとされています。 緑内障の有病率は、40歳以上では約5%で、現在の失明原因の第1位を占めています。

     当院では、様々な検査を用い、それぞれの緑内障に応じた治療を選択し行っています。
  • 2. 緑内障の原因

     眼球中には房水と呼ばれる液体が循環しており、栄養などを運んでいます。また、房水が眼内を循環し、眼圧を一定に保つことで眼球の形状が保たれています。
     房水は毛様体という組織で作られ、隅角の線維柱帯という場所から排出されます(図1)。
     何らかの原因により房水の産生と排出がアンバランスとなると眼圧が上昇し、長期間眼圧が高い状態が続くと視神経を障害し、視力や視野障害を来します。
    図1 房水の流れ(引用:参天製薬, Informed consent)
  • 3. 緑内障の病型

    原発開放隅角緑内障 隅角が開放しているタイプの緑内障です。初期には自覚症状が無いことが多く、 慢性に進行し、気がついた時には視野障害がかなり進んでいるということもめずらしくありません(図2)。
    正常眼圧緑内障 現在日本で最も多い緑内障です。眼圧が正常範囲内にあるにもかかわらず、視神経が障害されます。正常眼圧緑内障では眼圧の他にも血液循環や遺伝、 酸化ストレスなど様々な要因が関与しているのではないかと考えられています。
    原発閉塞隅角緑内障 隅角が閉塞して房水の流れが妨げられ眼圧が上昇するタイプの緑内障です。 原発閉塞隅角緑内障では、急速に隅角が閉塞することで著しい眼圧上昇を来すことがあり、これを急性緑内障発作といいます。 急性発作では急激な頭痛、眼痛、充血、霧視など激しい症状が出現します。慢性に経過し、視神経の障害が進行することもあります(図3)。

     その他、小児緑内障、続発緑内障などがあります。
    図2 開放隅角(引用:参天製薬, Informed consent)/ 図3 閉塞隅角(引用:参天製薬, Informed consent)
  • 4. 治療

     薬物療法、レーザー療法、手術療法などがあります。
     緑内障の病型、進行の程度、眼圧の程度により決定します。
     多くの緑内障では薬物療法が治療の主体となります。手術療法は薬物療法やレーザー治療の効果が乏しい場合に選択されます。
  • 5. 当院で行っている代表的な緑内障手術

    線維柱帯切開術
     線維柱帯を切開し、房水の流出をよくすることで眼圧を下げる手術です。
     比較的安全な手術で術後の合併症も少ないのですが、眼圧の下降効果は線維柱帯切除術と比較すると弱く、初期から中期の緑内障に適しています(図4)。
    図4 線維柱帯切開術(引用:参天製薬, Informed consent)
    線維柱帯切除術
     房水を結膜下に流すバイパスを作成し、眼圧を下降させる濾過手術です。眼圧下降効果は高く、中期から末期の緑内障が適応となります。
     一方で、濾過胞は術後数年経過してからも感染を起こす危険性があり、術後の管理が非常に重要となります(図5)。
    図5 線維柱帯切除術(引用:参天製薬, Informed consent)
    緑内障インプラント手術
     眼内に挿入したチューブを介して、眼球後房に固定したプレートへと防水を導いて眼圧を下げる濾過手術です。
     主に、線維柱帯切除術が無効であった症例、線維柱帯切除術が施行困難な症例が適応となります。
 涙は主に上眼瞼耳側の涙腺から分泌され、目の表面を潤し、上下眼瞼の鼻側にある涙点、涙小管、涙嚢、鼻涙管を通って鼻腔へ流れていきます。涙点から涙小管、鼻涙管へかけての涙の排出路を「涙道」といいます。涙の量は、瞬目によって分泌される涙の量と涙道へ排出される涙の量のバランスで決まります。流涙は分泌される涙が増加した場合と、涙道が狭窄や閉塞をおこして涙の排出量が減り、眼表面に残留する涙の量が増える場合に起こります。涙道が狭窄や閉塞を起こす疾患を涙道疾患といいます。
 涙道外来で治療する疾患は、涙道疾患です。
 涙道疾患の診断をつけるためには、涙液メニスカス、涙液分泌検査、涙管通水検査、涙道内視鏡検査、鼻内視鏡検査をします。 以上の検査をし、正確な診断を下すことが、適切な治療の選択に繋がります。
 先天性のものには、先天鼻涙管閉塞、先天涙点閉塞、先天鼻涙管閉塞、先天涙嚢ヘルニア等があります。先天鼻涙管閉塞は、生下時から流涙、眼脂があります。1才までの自然治癒率は約90%と言われ、急性涙嚢炎を起こさなければ、様子を診ても大丈夫です。自然治癒が認められない場合には、プロービング治療します。
 後天性のものには、涙点閉塞、涙小管閉塞、涙小管炎、鼻涙管閉塞等があります。 成人の涙道疾患の多くは、総涙小管閉塞か鼻涙管閉塞です。
 涙道疾患を治療する主な手術方法には、涙管シリコンチューブ挿入術と涙嚢鼻腔吻合術があります。どの手術も局所麻酔での手術が可能です。
 涙管シリコンチューブ挿入術は、総涙小管閉塞に対して一番効果のある方法で、涙道の閉塞部位を開放した後、涙管からステントを挿入します。二ヶ月程留置し、ステントを抜去します。その間に涙道が拡がり、涙道を再建することができると考えられています。
 涙嚢鼻腔吻合術は鼻涙管閉塞に対して効果があり、涙道と鼻腔との道筋を新たに作成する方法です。鼻涙管と鼻腔の間には薄い骨があり、バイパスを作成するためには、ドリルやのみで切除する必要があります。骨を切除する方法としては、皮膚を切開して鼻外から骨を切除する鼻外法と、鼻内視鏡下に鼻腔内から骨を切除する鼻内法があります。
 鼻内視鏡、涙道内視鏡が涙道疾患の治療にも導入され、涙道再建手術は低侵襲の手術になってきています。治癒率も高いです。鼻内視鏡を使用した手術では顔面皮膚を切開する必要もありません。涙目や、結膜炎症状をがまんせずに、積極的に手術治療を受け、生活を快適に送りましょう。
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